再びプールで泳げるようになった!ショウガ灸で全身の冷えが改善。(その2)

前田鍼灸療院

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再びプールで泳げるようになった!ショウガ灸で全身の冷えが改善。(その2)

診療日記

2017/09/18 再びプールで泳げるようになった!ショウガ灸で全身の冷えが改善。(その2)

前回からの連載記事。

思わぬ健康被害で体が冷え切って、プールで泳げなくなってしまった、佐戸川さんのお話の続きを綴ります。

 

晴れて私の患者様になった、佐戸川さん。

毎週木曜日、彫刻教室が始まる前の1時間に、お灸をして欲しいとの依頼を受けました。

第1回目の治療での佐戸川さんは、お灸に使うショウガの輪切りを見て珍しがったり、お腹のお灸で仰向けになって、立ち昇る煙を見て「凄いわね〜!」と吹き出したり、期待も半分の状態。

肌を露出したり、背中のコリを押されることにも、あまり慣れていない佐戸川さんに、顔に出さないよう配慮しながらも、内心、ちょー慎重になる私。

とりあえずはお試しということで、彼女にとっては何やら不思議な体験をした風だった第1回の治療。

「長いスパンで考えていますから、ゆっくりお付き合いください。」

担当施術者としては、もっともプレッシャーが掛からないありがたい御言葉を残して、来週の予約を入れて、その日はお帰りになりました。

 

治療を担当してみて私が感じたのは、まず肩と背中の強いコリ。

泳いでいるので、肩はしっかりと大きく、背筋はよく発達しています。

それは良いことなのですが、クロールで水を押すときの腕の支点が肩甲骨の間の下の方にあって、その辺りの脊柱の回りの固有背筋や菱形筋がかなり硬くなっていました。

僧帽筋や肩甲挙筋など、首から肩を吊り下げている筋肉も緊張が強く、その中に強い硬結(コリコリ)が。

めまいがする人は、姿勢調節のため首肩の筋肉が常に緊張し硬くなるといわれますが、佐戸川さんの場合それに加えて、根を詰める作業による疲労や眼の疲れの肩コリも加わっているのでしょう。

訴えの症状以外に、各所に分布しているコリをほぐしてゆくだけでも、結構やり甲斐があると感じました。

初回の治療は、鍼を打たないでお灸と手でできるものの中から、各所のコリや彼女の症状に効きそうな施術をあれこれ考えて、時間の許す限りそれらを盛り込んだものになりました。

 

1週間後、鍼灸院に訪れた佐戸川さんの顔には、明るい笑顔が輝いていました。

私へのお土産の包みでも開くように、早速話し始めた彼女。

「先生、お蔭様で、プールに15分は入っていられるようになりました。寝るときに履いていた靴下も、もう必要なくなりました。」

こんなに早く喜びの声を聞けるなんて、それは私にとっても驚きで、大きな喜びとなりました。

 

読者の方々は、症状を改善するべく治療しているのだから、治ったことに対して私が驚くのは可笑しいとお思いになるでしょうか。

正直なところ、これをやったら必ず治るという疾患は鍼灸治療では、そんなに多くはありません。(少なくとも、私にとってはそうです)

私達が出来ることは、危険を招く部位を禁忌として除外し、硬くて弾力のないところや窪んで力のないところ、症状に関連する経穴や筋や神経に施術を行なうのみで、施術後は患者さんの体自体がその後の回復を実行してくれるか否かなのです。

治るかどうか、ある意味、全ては体任せ。

でも、そこが鍼灸治療の興味深いところでもあるのだと思います。

体自体が持つ回復能力を刺激することで、願ってもいない機能改善まで付いてくることもあるのですから。

 

2回目の治療までの間に、病院の先生にもお灸による治療を始めたことを告げた、佐戸川さん。

「お灸はとても体に良いですから、是非続けてください!」と主治医が激励してくれたことも強力なバックアップになったようで、回復に向けての期待感がより高まったことが功を奏したのだと思います。

そんな経緯(いきさつ)で、2回目以降の治療では、彼女自身の乗り気が違いました。

5回目の治療で、プールの滞在時間は目標の30分を達成。

現在では当たり前のように、元通り、30分間泳げるようになったと満足そうです。

 

その日の体調で、時にはめまいを強く感じるため、今後も健康維持のためにお灸をずっと続けたいとおっしゃる佐戸川さん。

毎回のように、私に感謝の言葉を言ってくださるのです。

「先生、私ってなんてラッキーなんでしょう。たまたま隣り合わせになった鍼灸院で、先生に出会ってお灸に癒されて、またプールで泳げるようなって。いつも大石先生(彫刻教室の先生)は、家が近いからって車で迎えに来てくれて、私が治療受けている間に、彫刻を少し進めてくれるし。」(笑・笑・笑!)

 

私は、心からこう思います。

佐戸川さんのその前向きさが、病気を治し、幸運を引き当てているのだろうと。

難聴が治らなくなった過去に囚われていたら、今起きている幸運は感じられないのに、この方は根本から生き方が前向きなんですね。

本当に、頼もしい、積極的な77歳でいらっしゃいます。

それに、若々しくて、美しい!

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写真は製作中の仏像を、可愛い我が子のように手にする、佐戸川さん。

現在、手掛けている作品は「四天王」。

一つの仏像を完成させるのに、半年がかりなのだそうです。

前田鍼灸療院は、これからも彼女の積極的な生き方をサポートしてゆきます。

 

(※仏像彫刻学舎に参加したい、見学したいとお考えの方、まずは当鍼灸院までご連絡ください。)

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