再びプールで泳げるようになった!ショウガ灸で全身の冷えが改善。(その1)

前田鍼灸療院

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再びプールで泳げるようになった!ショウガ灸で全身の冷えが改善。(その1)

診療日記

2017/09/15 再びプールで泳げるようになった!ショウガ灸で全身の冷えが改善。(その1)

私どもの鍼灸院が陣取っている建物の隣の部屋では、仏像を彫る木彫教室が、毎週火曜日と木曜日開催されています。

看板は出ていませんが、“仏像彫刻学舎”というグループ名が存在します。

今回、ブログに記事を掲載させて戴くためのお話をして、お教室に名前があることを初めて知りました。

5月に鍼灸院を開設したときに、ちゃっかりお祝いまで頂戴しているのに。

私としたことが、何と不躾な・・・

 

今回は、このお教室に通っている、今年喜寿(77歳)を迎えた、元気で聡明な女性のお話をしたく思います。

その方のお名前は佐戸川さんといって、私が子供の頃よく一緒に遊んでいた“カッくんのママ”としての彼女は知っていましたが、彼女の人となりに触れたのは、私の患者さんになって当院の通うようになってからのことです。

 

問診したり治療中にお話したりして驚かされるのは、彼女の趣味の多さと取り組む姿勢の真剣さです。

今までに熱中してのめり込んだ趣味は、水泳、ジャズダンス、クラシックの歌唱(ソプラノ)にネールアートに仏像彫刻。

どれも熟練が必要な、地道な積み重ねが必要なものばかり。

趣味が高じて、ネールアートは資格を取得し、顧客を持つまでになり、家には自作の仏像が何体も、水泳は30年間、現在でもずっと続けています。

一度取り組んだものは、何でもライフワークにまでしてしまう、前向きで、凝り性で、地道な努力の人なんですね。

そして人との関係の中よりも、趣味としての題材と向かい合う中で、自分をより表現できる人なのだと感じています。

 

元来、週に3回プールで泳ぐ、壮健で病気知らずの彼女でしたが、7年前、ソプラノのレッスン後に毎回頭痛・めまい・吐き気がする体の変調を体験。

甲高いソプラノの声を聞き続けたことによる一過性の体の変化と思い込み、誤魔化し切れなくなって数週間後に耳鼻科を訪ねたときには、左耳の聴力は著しく低下しており、早期に治療を開始すれば治るはずだった突発性難聴耳は、既に不可逆的なものになっていました。

大丈夫、大丈夫という思い込みを外せば、もっと早く気が付けたはずの突発性難聴を放置してしまい、固着化させてしまった事が自身の健康に関する唯一の後悔で、これさえなければ病気知らずの生涯だったかも知れない、と少し残念そうに彼女は話します。

難聴をなんとか治したくて数々の病院に通い、やっと行き当たった専門医の元で、難聴は治癒せずとも最新鋭の補聴器で聴力は補正することができました。

しかし、今度は補聴器を取ると激しい耳鳴り・めまいが襲ってくる弊害を受け入れなければならなくなりました。

 

日常的なめまいや耳鳴りとお付き合いしながらも、現在も得意の水泳は、佐戸川さんにとっての心の支えであり、元気の証だといいます。

「30分ノンストップで泳ぎ20分水中ウォーキングするルーティンを、週に3回きっちり続けているの、偉いでしょ!」

「耳鳴りがしても、水中で無心に泳いでいるときは煩わしさから解放されるのよ〜」、とにこやかに話してくれます。

 

ところが今年、彼女は、大好きなプールで泳げなくなる予想外の健康被害に遭遇します。

5月に肺炎球菌のワクチンを接種し、一週間後に続けて帯状疱疹のワクチンを受けようとしたところ、病院の手違いで再度肺炎球菌ワクチンが接種されてしまい、それから彼女は、酷い下肢の冷えに悩まされることになります。

それは実際に倍量のワクチン接種による障害なのか、恐怖によって引き起こされた心因性の冷えなのかご本人も判らないといいますが、飛び込めば水を得た魚のようだった、居心地が良いはずのプールに入ると、10分も経たないうちに震え上がるほどの寒さに襲われて、悲しい気持ちでプールを後にする日々が続き、元来冷え性でも寒がりでもなかったのに、今年の夏は暑いのに寝るときも靴下は履いたまま。

 

過去の鍼体験がとても悪い印象を残しているため、「鍼は恐いから、絶対嫌なの!」と断言する佐戸川さんが、お灸の匂いに期待を寄せて私に健康の悩みを打ち明けてくださったのは、仏像彫刻教室と鍼灸院がお隣さんになって、既に1ヶ月以上経った7月中旬のことでした。

初回の問診での、彼女の訴えが、カルテに記載してあります。

「難聴や、めまい、耳鳴りは、治るものではないと諦めがついています。でも、元気の証だった水泳が出来なくなったのことが、今、何よりも悲しい。私は80歳まで泳ぎ続けることを目標にしていたんです。少しでも体の冷えが治って、今より5分でも長く水の中にいられるようになれたら、それが私の本望です。」

佐戸川さんの治療において、鍼は最初から禁じ手。

私は、ショウガ灸と手技による、全身を温め、溜まった体の緊張を徐々にほぐす治療をお勧めし、合意により彼女の治療はスタートしました。

 

文字数がかなり多くなりましたので、残念ながら第一話は、ここまで。

 

最後に、1枚、仏像彫刻教室の写真を掲載します。

木曜日夜の部の皆さんです。

毎度、お灸の煙が流れ込んで、燻製してしまって、ご迷惑掛けてます。

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どなたが佐戸川さんなのか、すぐ判りますね。

木曜日の夜の部で、佐戸川さんは紅一点。

佐戸川さん、本当に77歳?!若すぎる!

一番右が、仏像彫刻学舎の主催者、大石先生。

 

お教室の雰囲気は、とても楽しそうで、まるで大人の学校みたい。

みなさん真面目に作業しながらも、笑いの絶えない楽しそうな会話が、隣の治療室まで聞こえて来ます。

話している内容はハッキリとは聞き取れませんが、誰かが話題を振るとそこに大石先生が、絶妙な合いの手を入れて、ドッと笑いが巻き起こったり、その後、丁々発止に意見が飛び交ったり。

大石先生は、落語の愛好者との情報あり。

知識が豊富で機転が利くので、一緒にいる人の脳を活性化出来るんでしょうね!

大人の学校の引率者として、まさに適任者なのだと感じています。

 

(続く)

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